「見た目に自信がない…」から卒業する:ワイヤーフレームで迷わないTableauダッシュボード構築法
はじめに
ビジネス現場でデータ活用が進む中、Tableauはデータをわかりやすく見せる強力なツールとして知られています。しかし、いざダッシュボードを作ろうとして、「何をどこに配置すればよいかわからない」「色や配置のセンスがなく、見づらい画面になりがち」という悩みに直面する方は少なくありません。特にデザインが苦手な方にとって、見た目のバランスを整えることは大きなハードルに感じるはずです。
このような悩みは、実はTableauの機能や操作方法だけが原因ではありません。根本には、「作る前に目的と構成をしっかり考える」ステップが抜けていることが多いのです。そこでおすすめなのが、ツールを開く前に「ワイヤーフレーム(設計図)」を用意する方法です。これは、デザインセンスに自信がない人でも、画面を整えやすくするための有効なアプローチです。
なぜワイヤーフレームが必要なのか
ダッシュボードがわかりにくくなる原因は、しばしば「目的」と「構成」の不明瞭さです。
- 目的:何を伝えたいか、何を判断したいか
- 構成:どの情報を、どの場所に、どの順番で並べるか
デザインが苦手な人は、見た目の美しさや色づかいをどうすればいいか悩みがちです。しかし、視覚的なセンスに頼らずとも、「先に情報の配置ルールを決める」ことで、自然とわかりやすいレイアウトに近づけられます。ワイヤーフレームをつくる際は、芸術的なセンスよりも、「必要な要素を整理して置く」ことが大事なポイントです。
ワイヤーフレームがもたらす効果
- 迷いの軽減
先に骨組みを決めておくことで、Tableau上でどのグラフをどこに配置するかで悩む時間が大幅に減ります。 - コミュニケーションのしやすさ
紙やスライド上の簡単な配置図なら、デザインに自信がない方でも「ここに指標A」「ここに指標B」と説明しやすく、チームで検討するときも直感的に理解してもらえます。 - 変更への柔軟性
ワイヤーフレーム段階なら、ペンやマウスで軽く移動させるだけで調整可能です。後から直すより手戻りが少なく、どんなにデザインが苦手でも簡単な修正で「見やすさ」を改善できます。
手順例:デザインセンス不要の準備プロセス
ここからは、具体的な流れを示します。デザイン面で不安がある方も、この流れに沿えば最初から完璧な見た目を狙わなくても、結果的に「わかりやすさ」を確保できます。
1. 目的をはっきりさせる
例:「今月の売上傾向を把握し、問題のある商品カテゴリを特定する」
これだけで、「全体の売上状況を示す領域」と「カテゴリ別比較を行う領域」が必要なことがわかります。目的が明確だと、何を表示するか選別しやすく、余計な要素を足すことでごちゃつくのを防げます。
2. 利用者を想定する
誰がダッシュボードを見るのでしょうか?
- 経営層:全体傾向をすばやく確認したい
- 現場担当者:自分のカテゴリやエリアがどうなっているか深堀りしたい
こうした想定を持つと、上部に概要、中央で比較、下部で詳細という「使う人が自然に読み進められる構造」が見えてきます。デザインが苦手でも、「上から下に視線が流れる」基本ルールを使えば、自然と整った印象になります。
3. 必要なデータ・指標を洗い出す
- 全体売上の推移
- 商品カテゴリ別売上比較
- 前月比や目標対比など問題特定に役立つ指標
これらを箇条書きにすると、後で「ここにこのグラフを」と割り当てやすくなります。この段階では形や色に悩まず、「情報の棚卸し」を行うだけでOKです。
4. ストーリーラインを組み立てる
ユーザーがダッシュボードを開いたら、
- 全体の状況をざっと確認(上部にKPIやサマリー)
- 問題があるカテゴリを比較(中央にカテゴリ別グラフ)
- 必要に応じて詳細情報へアクセス(下部やサイドにテーブルやフィルター)
ストーリーラインが決まれば、自然と配置の順番が見えてきます。これは感覚よりも「情報の流れ」に基づいた配置なので、デザインセンスを問われません。
5. ワイヤーフレームを紙やスライドに描く
紙とペン、あるいはPowerPointで四角形を並べるだけでもOKです。「上にサマリー指標」「中央に比較チャート」「下に詳細情報」といったレベルで枠組みを作り、要素名を書き込んでみます。ここで求められるのは、きれいな図形やカラフルな色づかいではなく、配置の論理性です。
6. フィードバックをもらう
同僚やチームメンバーに、「この配置で全体が分かりやすい?」「何を先に見ればいいか迷わない?」と尋ねてみましょう。デザインが苦手な方でも、論理構成で話ができるため、見た目の美しさではなく「わかりやすさ」にフォーカスして会話できます。
もし「カテゴリ比較はもっと目立たせた方がいい」などの意見が出たら、紙の段階で修正してください。ツールで作りこんでから直すより、はるかに楽です。
7. ワイヤーフレーム確定後、Tableauへ
ワイヤーフレームで全体像が固まったら、ようやくTableauを開きます。この時、どんなチャートタイプを使うかや、どんな色合いにするかを検討しますが、すでに情報配置が決まっているため、無理に「凝ったデザイン」を考えなくても、情報は整理されています。簡素な棒グラフやラインチャートでも、目的に沿った配置なら十分伝わります。
まとめ
デザインが苦手な方でも、ワイヤーフレームを活用することで「どの情報を、どこに、どんな順番で見せるか」を整理でき、自然にわかりやすいTableauダッシュボードを構築できます。
- 目的・利用者・必要な指標を先に洗い出す
- 論理的なストーリーラインで配置を決める
- 紙やスライド上で何度でも簡単に構成を見直す
これらのステップは、特別なデザインスキルが不要な「思考の整理術」です。最終的には、ツール上で微調整しながら、徐々に見た目を整えればOKです。次回ダッシュボードを作る際は、ぜひワイヤーフレームづくりからスタートし、デザインに自信がなくてもスムーズに情報が伝わる構成を目指してみてください。
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