Tableauでかんたんに作れる10個のグラフ:ビジネスデータをもっとわかりやすくする方法
1. はじめに – データをわかりやすく伝えるために「視覚化」が必要な理由
ビジネスの現場では、データをもとに素早く意思決定をすることがとても大切です。でも、Excelでデータを表にしただけでは、どの数字が重要で、どんな傾向があるのかを直感的に理解するのは難しいですよね。
そこで役立つのが「視覚化」、つまりデータをグラフやチャートにして見やすくすることです。Tableauはこの視覚化が得意なツールで、操作もとても簡単です。特別なスキルがなくても、ドラッグ&ドロップだけで複雑なデータを見やすくまとめられます。
Excelの限界とTableauの強み
Excelは数字を計算したり、表で整理するのには向いていますが、視覚的にパッとわかる形にするのは苦手です。たとえば、「どの地域が一番売上が高いのか」「どの商品の売上が伸びているのか」を伝えるには、グラフでわかりやすくするほうが効果的です。
Tableauなら、数字をグラフに変えることで、データから伝えたいポイントをすぐに共有できるようになります。
2.Tableauが可能にする高速ビジュアルシンキング
なぜTableauが重要なのでしょうか。
それは、データを素早く「見える化」できるからです。たとえばExcelで10時間かけてやっと見出せる洞察も、Tableauならわずか数十分で得られることも珍しくありません。ドラッグ&ドロップ操作で簡単にグラフを作成し、色や形、地図表示などの直感的な表現を通じて、「なぜこの月に売上が下がった?」といった疑問を自然に生み出せます。
これにより、発想や仮説を次々と試し、フィードバックを即座に得られる「試行錯誤のサイクル」が劇的に短縮されます。難しいコード知識は不要で、まるでデータと対話するように分析を進められるため、初めての方でも高速なビジュアルシンキングが可能です。
結果として、ビジネスに直結する有益なインサイトを素早く見つけ、効率的かつ的確な意思決定につなげることができます。Tableauは、数値の羅列を「ひと目で理解できるパターン」へと変換し、あなたのビジネスをより鮮明に、そして迅速に導いてくれる心強いツールなのです。
3. Tableauで作れる「10種類のグラフ」とその簡単な作成方法
Tableauでは、簡単な操作で多様なグラフを作成できます。ここでは代表的な10種類のグラフを紹介し、それぞれの特長や使い方、注意点を解説します。この10種類のグラフを使いこなせれば、ビジネスでのデータ活用がぐんと楽になります。
以下は、Tableauでおなじみのサンプルスーパーストアのデータを使って、簡単に作成できるものです。
1. 棒グラフ(Bar Chart)
特長:
- カテゴリごとの比較に最適で、値の大小関係を直感的に示します。
活用例:
- 「地域別売上」:どの地域が最も貢献しているかを一目で把握。
- 「商品カテゴリ別売上」:どのカテゴリが売上を伸ばしているかを確認。
作成の流れ:
- データペインから「地域」を列シェルフ、「売上」を行シェルフにドラッグします。
- マークカードで「棒グラフ」が選ばれ、自動的に表示されます。
- ソート機能を使って、大きい順や小さい順に並べ替えるとさらに見やすくなります。
注意点:
- 項目が多すぎると棒が増えて見づらくなるので、重要なカテゴリに絞ると良いです。
- 軸ラベルや色分けを工夫して、グラフを読みやすくしましょう。
2. 折れ線グラフ(Line Chart)
特長:
- 時系列データの変化を追うのに向いています。トレンドや増減がひと目でわかります。
活用例:
- 「月ごとの売上推移」:キャンペーン後の売上の変化を確認。
- 「週ごとのWebサイト訪問数」:マーケティング施策の効果を測る。
作成の流れ:
- 「日付」を列シェルフ、「売上」を行シェルフにドラッグします。
- マークカードで「折れ線グラフ」が自動的に選ばれます。
- 日付の粒度を「年」「月」「日」など適切に調整します。
注意点:
- X軸の日付の粒度をしっかり設定することで、必要な情報が伝わりやすくなります。
- 複数の折れ線を表示する場合は、色分けや線の太さを変えると見やすくなります。
3. 円グラフ(Pie Chart)
特長:
- 全体に対する割合を示すのに適しています。構成比が直感的に伝わります。
活用例:
- 「広告費の媒体別割合」:どの媒体にどれくらい使っているかを確認。
- 「顧客層別売上割合」:どの層に注力すべきかを分析。
作成の流れ:
- マークカードで「円グラフ」を選択します。
- 「カテゴリ」を色、「売上」を角度にドラッグします。
- ラベルを追加して、割合を明示します。
注意点:
- カテゴリ数は3〜5程度に絞ると見やすくなります。
- 似た色の組み合わせを避け、ラベルで補足するとわかりやすいです。
4. 散布図(Scatter Plot)
特長:
- 2つの変数の関係性や相関を視覚化するのに役立ちます。外れ値の発見にも便利です。
活用例:
- 「売上 vs. 利益」売上と利益の相関を分析。
- 「広告費 vs. 顧客獲得単価」:広告の効率性を確認。
- 「購入額 vs. 返品率」:顧客行動の傾向を分析。
作成の流れ:
- 「売上」を列シェルフ、「利益」を行シェルフにドラッグします。
- マークカードで「円」を選択し、色やサイズで第3の変数「製品」を表現します。
注意点:
- 必要に応じて軸範囲を調整すると、外れ値やトレンドが見やすくなります。
- トレンドラインを追加することで相関関係がさらに明確になります。
5. ヒートマップ(Heat Map)
特長:
- 色の濃淡でデータの大きさや頻度を示します。集中している部分がすぐにわかります。
活用例:
- 「曜日×時間帯別の来店数」:混雑しやすい時間を特定。
- 「地域別×製品カテゴリの売上」:どの地域で何が売れているか分析。
作成の流れ:
- 「曜日」を列シェルフ、「時間帯」を行シェルフにドラッグします。
- 「売上」を色に設定し、カラーパレットで濃淡を調整します。
注意点:
- 適切な色の選択が重要です。薄い色から濃い色へのグラデーションがおすすめです。
- ツールチップを追加すると詳細情報も簡単に確認できます。
6. ツリーマップ(Treemap)
特長:
- カテゴリの割合を面積で表します。たくさんのデータを一目で比較できます。
活用例:
- 「商品ラインナップの売上割合」:どの商品カテゴリが売上を牽引しているか確認。
- 「広告媒体別の投資割合」:どこに予算を多く使っているか分析。
作成の流れ:
- 「カテゴリ」を色、「売上」をサイズに設定します。
- マークカードで「正方形」を選択し、カテゴリごとの面積を表示します。
注意点:
- カテゴリが多すぎると見づらいので、フィルターで絞り込むのが効果的です。
- 色と面積を組み合わせて、複数の視点でデータを見せることができます。
7. 面グラフ(Area Chart)
特長:
- 時系列のデータの累積を表します。全体の変化と部分ごとの違いが一目でわかります。
活用例:
- 「カテゴリ別売上」
- 「チャネル別売上シェア」:売上全体と各チャネルの推移を確認。
- 「顧客獲得数の累積」:成長ペースを把握。
作成の流れ:
- 「日付」を列シェルフ、「売上」を行シェルフにドラッグします。
- マークカードで「エリア」を選び、必要に応じてカテゴリで色分けします。
注意点:
- 色使いは統一感を意識し、読みやすさを確保します。
- ツールチップを利用して詳細データも確認できるようにします。
8. ヒストグラム(Histogram)
特長:
- データの分布や傾向を示します。特定の値がどれだけ集中しているかがわかります。
活用例:
- 「オーダー金額の分布」:どの金額帯のオーダーが多いのかを確認。
- 「購入額の分布」:高額購入者がどれだけいるか分析。
- 「顧客評価スコアの分布」:満足度の傾向を確認。
作成の流れ:
- 「売上」を右クリックし、「ビン」をクリックして、ビンのサイズを調整。
- 「売上金額」を列シェルフに設定します。
注意点:
- ビン幅が広すぎると傾向がぼやけ、小さすぎるとノイズが多くなります。
- 詳細データはツールチップで補足すると良いでしょう。
9. ボックスプロット(Box Plot)
特長:
- データのばらつきや外れ値を示します。品質管理や異常値の発見に便利です。
活用例:
- 「売上の分布」:顧客区分ごとの売上分布と異常値を確認。
- 「顧客満足度の分布」:特異なケースを特定。
- 「配送リードタイム」:ばらつきの改善ポイントを発見。
作成の流れ:
- 「顧客区分」を列シェルフ、「売上」を行シェルフ、オーダーIDを詳細カードにドラッグします。
- マークカードで「円」を選択します。
注意点:
- ボックスプロットを初めて見る人には解釈を説明するとスムーズです。
- 外れ値の原因を分析するとさらに役立ちます。
10. マップチャート(Map Chart)
特長:
- 地域ごとのデータを空間的に把握できます。
- 国や都道府県、市区町村単位で分布、傾向を瞬時に視覚化します。
活用例:
- 「地域別売上分布」:どの地域が突出しているかを一目で把握。
- 「店舗立地戦略」:人口分布や売上傾向と地理情報を重ね合わせて意思決定に役立てる。
作成の流れ:
- 「地理情報(国・都道府県・郵便番号など)」を列または行シェルフにドラッグします。
- マークカードが自動的にマップを認識します。
- 「売上」や「顧客数」などの数値項目を色やサイズにドラッグして濃淡・大きさで特徴を強調します。
注意点:
- 地理情報が正しく認識されるよう、データソース上で住所情報を整理しておくとスムーズです。
- 地域をクリックして詳細をハイライトするなど、インタラクティブな使い方で分析を深めると効果的です。
おまけ テキストテーブル(Text Table)
特長:
- 数字データを一覧表示するのに便利。グラフの補足としてよく使われます。
活用例:
- 「上位10商品の売上」:詳細な数値を確認。
- 「KPIの一覧」:定期的なレポートで使える指標を並べる。
作成の流れ:
- 「カテゴリ」「売上」を行シェルフにドラッグします。
- 自動でテキスト形式の表が作成されます。
注意点:
- 表だけでは傾向が伝わりにくいので、グラフとセットで使うと効果的です。
- 必要な列だけ表示して、簡潔なデザインにします。
4.Tableauでのグラフ選びガイド:初心者でも迷わないコツ
Tableauはドラッグ&ドロップで簡単にビジュアライゼーションを作れる強力なツールですが、はじめて使うと「どのグラフを選べばいいの?」と戸惑うことも多いでしょう。グラフの種類は棒グラフや折れ線グラフ、散布図、ツリーマップ、マップチャートなど多岐にわたりますが、慣れないうちはいくつかの基本ルールを押さえるとスムーズに選択できるようになります。
1. 比較したいなら棒グラフ
異なるカテゴリ(地域、商品カテゴリ、部門など)同士を比較したいときは、棒グラフが最適です。棒の長さで数値の大きさが直感的に伝わるため、どこが突出しているかが一目瞭然。売上や利益、顧客数を部門別に比べるなど、「誰が一番か」を明確にするときに適しています。
2. 推移を見たいなら折れ線グラフ
時間の経過による増減パターンを捉えたいときは、折れ線グラフが便利です。日ごと、月ごと、年ごとの変化がスムーズな線でつながるため、「いつ上昇し、いつ下降したか」を即座に判断できます。売上の季節変動や、月ごとのアクセス数推移など、トレンド把握に最適です。
3. 分布や関係性を探るなら散布図
「XとYは関連があるの?」といった相関関係や、データがどんな範囲に分布しているかを確認するには散布図が有効です。例えば、「広告費を増やせば売上は伸びるのか?」といった疑問に対して、点の配置パターンから傾向が見えてきます。
4. 全体との割合を示すなら円グラフやツリーマップ
全体の中で特定の要素がどれくらいの比率を占めるかを示すときは、円グラフやツリーマップが役立ちます。円グラフはシンプルな構成比がわかりやすく、ツリーマップは複数の階層を一度に表現可能です。ただし、円グラフは要素が多すぎると見づらいため、3~5要素程度に絞るのがコツです。
5. 地理的な違いを視覚化するならマップチャート
地域別の売上や人口分布など、地理的な違いを一目で把握したい場合は、マップチャートが有効です。色やマークの大きさで数値の大小を表し、どの地域が特別な傾向を持つか素早く確認できます。
以上の基本的な考え方を押さえれば、Tableauでのグラフ選びに迷う時間が減り、より効果的なビジュアライゼーションを素早く作成できます。最初はシンプルなグラフから始めて、目的に合わせて徐々にバリエーションを増やしていくと、データ分析の幅が確実に広がるでしょう。
5. まとめ – データ視覚化でビジネスを加速する
Tableauを使えば、複雑なデータも簡単にわかりやすく整理できます。視覚化することで、ただの数字が「意味のある情報」に変わり、よりスピーディーな意思決定をサポートします。
さらに、予測機能やアニメーションを使えば、データの未来を読む分析も可能です。今後はもっと高度な機能にも挑戦して、データ活用の幅を広げてみてください!
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