Tableauで何ができるの? 世界一わかりやすいTableau使い方入門

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Tableauは誰でも使えるツールです

リンクは、弊社「初心者向けTableau用語集」記事に飛びます。ぜひご活用ください。

Tableau(タブロー)は、あなたのビジネスデータを色々なグラフや一覧表に変えて、直感的に理解できるようにするツールです。

データを理解しやすくすることによって、企業や政府官公庁・自治体などのあらゆる組織において、データにもとづいたビジネス意思決定支援(ビジネスインテリジェンス)に使われます。

Tableauについて、ニュースやセミナーなどで耳にしたことがあるかもしれません。2019年、Salesforce社がTableauを157億ドルもの巨額で買収したときは、世界的なニュースになりました。

ところでTableauについて興味を持って調べてみたけれど、なんだか難しそうで、自分にはハードルが高そうという声をよく耳にします。

また、Tableauを導入してみたけど、どこから手をつけたら良いのか、基本操作がわからないので、結局使いこなせない方も残念ながらいらっしゃるようです。

たしかに、世に数多あるTableauの解説本やヘルプを見ると、独特の専門用語が並んでいて、とても難解なツールであるという印象を受ける人がいるのもうなずけます。

ですが、Tableauは本当に誰でも簡単に使えるソフトです。Excelよりもはるかに簡単に、とても素早く、奥が深い情報をデータから引き出せます。そして、学べば学ぶほど「こんなことも出来るんだ」「こんなテクニックも使えるんだ」という発見があります。

そこで、Tableauについて「世界で一番やさしいTableau入門講座」を、弊社ブログで始めることにしました。Tableau界隈では独自の専門用語が飛び交っていますが、それらの用語についてもわかりやすい解説を加えていくつもりです。

その初回である本記事は、業務でTableauを使うことを想定して、データ可視化の仕事の一連の流れに沿って、Tableau製品の全体像をお伝えします。

目次

Tableauを構成する3つの製品

まずTableauの大まかな全体像からお話しします。

ひとくちにTableauと言われますが、それぞれ別の役割を持つ3つのソフトウェアから成り立っています。

Tableau Desktop

Tableau Desktopは、準備したデータから、グラフや表、ダッシュボードなど視覚化された表現を作るソフトです。一般にTableauと言えば、このTableau Desktopのことを指します。いわばTableauの「本体」です。

データを視覚的にわかりやすく表現することを、Tableauのユーザーたちは「データビジュアライゼーション」、略してVizと言います。美しいVizを、わずか数クリックの操作、数十秒で作れることがTableau Desktopの最大の強みです。

どれほど膨大なデータであっても、社内データやオープンデータへとかんたんに接続することができ、経営状況やWebアクセス、市場動向などあらゆるものを即座に可視化できます。ビジネスにおいて、経営状況や市場動向、あるいはマーケティング施策の結果が迅速に把握できるメリットは計りしれません。

Tableau Prep

Tableau Desktopでデータを読み込もうとしたが失敗した。あるいはExcelに入力されたデータに修正が必要。

そういう場合、以前はTableau Desktopで読みこむ前に、手動でデータを修正する必要がありました。当然、大きなデータになれば、修正には膨大な時間がかかるわけです。通説では、データ分析においては、データ準備作業に9割の時間がかかるとさえ言われています。

そのデータ準備作業を効率化するために作られたのが、Tableau Prepです(Prepとは「準備」preparationの略です)。たとえば、毎月の業績レポートを作成するために数日かかっていたデータ収集・変換が、実行ボタンをワンクリックして待機するだけの、たった5分の作業になるわけです。その圧倒的な作業効率がTableau Prepの最大の強みです。

Tableau Prep

Tableau Cloud/Server

Tableau Desktopで作ったダッシュボードやデータを組織内で共有したい。でも、大切な自社データでもあるので、外部への漏洩だけは絶対に避けたい。

Tableau DesktopやTableau Prepで作ったものを、組織内で 共有するために使われるプラットフォームが、Tableau Cloud/Serverです。

データを共有するだけではなく、データの自動更新機能や、ユーザーへの通知機能なども含まれています。

Tableau Desktop/Prepだけではなく、ブラウザからも、Tableau Cloud/Serverで共有されたダッシュボードやデータにアクセスすることができます。また、非常に柔軟なアクセス権限が設定できるため、セキュリティが大幅に向上します。わかりやすく言えば、ユーザー名とパスワードでのログインが必須であり、許可されたユーザーだけがアクセスできるので、大切な社内データが漏洩する危険性が減ります。

CloudとServerの違いは、アクセスする場所です。Tableau Cloudでは、ユーザーはSalesforce社がインターネット上で提供しているサービスにアクセスします。

それに対して、Tableau Serverでは、社内のIT部門が運用しているサーバーにアクセスします。

Tableauの3つのソフトは、同じライセンスに含まれている

これまでTableauを構成する3つのソフトをごく簡単に紹介してきました。

おさらいすると、

  • Tableau Desktop データビジュアライゼーション
  • Tableau Prep データ準備
  • Tableau Cloud/Server データ共有

ここまで読んできて、それぞれ別々に買わなければいけないの?それ、すごくコストがかかるんじゃない?と不安になられた方も多いでしょう。

ご安心ください。

Tableauのこの3製品をもって1つのTableauであると考えるため、最も基本的なTableau ライセンス(Creatorライセンス)に、上記すべてのソフト/サービスが含まれています。

ただしTableau CloudとServerの両方を一つのライセンスで利用することはできません。Tableau Cloudを使用するかTableau Serverを使用するか、どちらかを選択する必要があります。

価格は、1ユーザーあたり年額108000円です(2024年3月現在)

他にも、ライトユーザー向けの、もっと安いライセンスがあります。

正式なライセンス体系と価格については、よく変更があるため、公式サイトでご確認ください。

Tableauを使って仕事をするって、どういう感じ?

作業の流れ

それでは、実際の業務に沿って、Tableauを使った一連の流れを簡単に説明していきます。

社内でTableauを使用するということがどういう感じなのか、作業イメージを掴んでもらえればと思います。

作業の流れは、大まかにこんな感じです。

①Tableau Prep データ準備
データ修正・データ加工
②Tableau Desktop データビジュアライゼーション
データ接続・グラフ作成・ダッシュボード作成
③Tableau Cloud/Server データ共有
ダッシュボード共有・自動更新・通知

実際の業務では、必要に応じて、①Tableau Prepと③Tableau Cloud/Serverは使われないこともあります。

即座に可視化できる綺麗なデータがあればTableau Prepは使わなくても済みますし、組織内でダッシュボードを共有する必要がなければTableau Cloud/Serverは使いません。

そのためか、ネット上でのPrepやCloud/Serverについての解説は、Desktopよりも圧倒的に少ないのが現状です。しかし、どちらもDesktopに負けず劣らず、企業にとっては極めて有用なソフトです。

本記事では、Tableau全体でいったい何ができるのか、イメージをお伝えしていきたいと思います。

上司に無茶ぶりされた文房具メーカーAさんの話。

例えば、文房具メーカーの営業部で働くAさんが、突然上司から売上データの分析を急に頼まれたとき、Tableauがどう彼の役に立つかを見てみましょう。

Aさんは、営業部長からこんな無茶ぶりをされました。

「ここ3年間の我が社の売上と利益を分析したグラフを作成してほしい。トータルの数字とは別に、製品別・カテゴリ別・担当者別・販売地域別・取引先別それぞれで分析し、我が社の売上が伸びているのに利益が減っている原因を示してくれ。必ず今週中に資料をまとめてくれよ。来週頭の全社会議で使うからな」

Aさんは「いま金曜日の午後なんですけど・・・」という言葉を吞み込みました。

以前のAさんなら、彼女との約束をキャンセルして休日出勤を行い、Excelで大量のデータやグラフと挌闘していたでしょう。一方、約束をまた反故にされた彼女は、大激怒していたでしょう。しかし、Tableauを使い始めて1か月、操作にも慣れてきたAさんは、「今日中になんとかできそうだな」と思います。

①データ準備 Tableau Prep

Aさんの勤務先では、すべての売上明細がAccessで年度ごとに管理されています。Tableau Desktopで読みこんでみたところ、営業担当者の氏名の間にスペースが入っていたり入っていなかったり、表記ブレがあることがわかりました。

また、このデータには商品名の項目がありますが、その商品がどのカテゴリに入っているのか、たとえばハサミなのか筆記具なのかがわかりません。そのため、Excelのカテゴリ表も読みこんで、売上明細と結合する必要があります。

以前のAさんなら、Excelを修正・加工するために、金曜日の午後と土曜日をまるまる潰していたことでしょう。

しかし、Aさんは今やTableauユーザーであり、Tableau Prepも利用できるライセンスを持っています。Tableau Prepでは、実際に元データを加工修正するのではなく、データの中身も確認しながら、加工の流れ(フロー)をドラッグ操作で作っていきます。

データの修正や結合の他、ピボットや集計、不要列の削除なども行えます。

フローが構築出来たら、実行ボタンを押して数分待ちます。

Excelなどでの手作業のデータ加工と違うのは、同じ種類のデータなら何度でも同じフローで処理できるということです。たとえば、翌月あらためて最新データで分析したいときは、最新データを読みこんで、保存したフローを実行すれば、たった5分で最新の綺麗なデータが作成できるのです。

②データ可視化 Tableau Desktop

Aさんは、次にTableau Desktopを開きます。

Tableau Desktopでの作業は、おおむね次の流れで行います。

  1. データ接続
  2. グラフ作成
  3. ダッシュボード作成

1.データ接続

Tableauで分析・可視化するためには、まずデータを読み込む必要があります。

読みこめるファイルは、ExcelやCSVなどのファイル、My SQLやAmazon Redshiftなど各種データベース、地図で表される空間データなどです。

今回、AさんはTableau Prepで作成したHyperファイル(Tableauに最適化されたファイル)に接続しました。

2. グラフ作成とデータ探索

次に、読みこんだデータから、売上や利益の現状がどのようになっているか確認します。

Tableauでは、わずか数クリックで様々なグラフが作れます。簡単に作れるグラフの代表例を列挙すると、

  • 棒グラフ
  • 積み上げ棒グラフ
  • 折れ線グラフ
  • クロス集計表(ハイライト表)
  • 散布図
  • 円グラフ
  • 地図

などです。

Tableauの良いところは、簡単なドラッグ&ドロップ操作で、グラフの種類や分析軸、条件を切り替えたりできることです。

たとえば、売上分析をするときに、顧客別で折れ線グラフから、カテゴリ別の折れ線グラフに分析軸を切り替えるのも、わずか1回、数秒のドラッグアンドドロップ作業で可能です。

売上推移グラフを作成し、カテゴリ別売上推移を見て、顧客別売上へと分析軸を切り替える様子

TableauがExcelや他のデータ分析ソフトに対して決定的なアドバンテージがあるのが、この圧倒的な作業速度です。

他のソフトでは、何かを知りたいと思えば、集計表を作ったりプログラミングしたりして、その上でデータが可視化される。そこまで数十分から数時間、場合によっては数日かかります。

ところが、Tableauでは、自分が「こういう観点から分析をしたい」と思えば、マウス操作でリアルタイムに結果が出るのです。

Tableauは「思考と同じ速度でデータを可視化する」ツールなのです。

Aさんは、部長のオーダーである「売上低迷の原因」を探るため、あらゆるグラフを思いつくままに可視化していき、さらに深堀していきました。作成したグラフ数は、1時間で40個。そして、どうも関西で、主力製品であるボールペンの売上が急減していることを突き止めました。

3. ダッシュボード構築

次に、作成したグラフをいくつか組み合わせて、ダッシュボードを構築します。

ダッシュボードとは、もともと車や飛行機の「計器盤」のことを意味します。

ビジネスインテリジェンスソフト(ビジネス用の意思決定支援ツール、その代表がTableauです)の世界では、ダッシュボードは、複数のグラフや表を組み合わせて、情報を一目で可視化できるようにする仕組みのことです。

Tableau公式「サンプルスーパーストア」ダッシュボード。データはダミーです。

Tableauダッシュボードでは、画面上のグラフをクリックすると、インタラクティブに別のグラフが変わります。たとえば、上の棒グラフで「関西地方」をクリックすると、関西地方だけの売上・利益散布図や顧客ランクが表示されます。そうすると、関西の売上が悪い原因を、さらに深堀して分析ができるわけです。

Tableauの動的ダッシュボードの決定的な利点が、このダイナミックな深掘り分析です。これは、PowerPointで作成された紙資料では絶対に実現できません。

ダッシュボードの構築ステップは、おおむね以下の流れです。

  1. 作成した複数のグラフ・表を、ダッシュボード画面に配置する。凡例やフィルタも配置する。
  2. ダッシュボードアクションを設定する。この棒グラフをクリックしたら、このグラフが変わるという設定を行う。
  3. 文字の大きさや余白など、全体のデザインを調整する。
  4. 必要に応じてコメントを付け加える。

Aさんは、以上の作業手順でダッシュボードを作成し、関西地区の何人かの得意客で利益率が極度に悪化している旨、コメントを付け加えました。

③データ共有 Tableau Server/Online

Aさんは、Tableau Desktopからダッシュボードを、Tableau PrepからはフローとデータをTableau Serverにアップしました。

また、ダッシュボードから、部長への通知を設定します。すると、部長はSlackやメールで共有されたダッシュボードを、出先からログインして確認できます。

定時に退社したAさんは、彼女と予約していたレストランに向かいました。

翌週、部長は全社会議で、ブラウザからTableau Serverにログインし、プレゼンを行いました。Aさんが作ったインタラクティブなダッシュボードをブラウザ上で実際に操作しながらデータを動かして見せたことで、利益率低迷の原因について会議では活発な議論が行われ、関西地区を中心とした顧客の割引率設定を見直すことが決まりました。

その後、AさんはTableau Server上で、月に一回Tableau Prepでデータ更新が自動実行されるように設定しました。Aさんは、金曜日の午後と同じ作業を繰り返す必要がありません。来月からはダッシュボードには最新データが自動的に反映されます。そしてデータが更新されるたびに、部長にSlackで自動的に通知が行くのです。

週末の彼女とのデートの約束は、今後もキャンセルせずに済みそうです。

Tableauは誰でも使える!

Tableauの全体像を、3つの製品とその使い方の流れについて、これまで簡単にご紹介しました。

だいたいのイメージがつかめたなら幸いです。

ですが、Tableauの操作を理解するうえで大切なことは、実際に触ってみることです。

Tableauは本当に簡単に使えるツールです。これから、私たちと一緒に学んでいきませんか?

次回の記事では、Tableauの基本操作から始めて、データ分析の魅力的な世界へと皆さんを導きます。

具体的な分析例とともに、操作のコツや効率的な活用方法を解説していく予定です。ぜひ楽しみにしてください。

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